こんにちは、柔道整復師の佐野遥基です。
今回は、「朝、顔を洗おうと前かがみになった瞬間に激痛が走り、動けなくなった」という50代男性のギックリ腰(急性腰痛)の症例についてご紹介します。

■来院時の状態
患者様は50代男性。普段はデスクワーク中心の仕事をしており、運動習慣は特にありません。
ある朝、洗面所で前かがみになった瞬間に「腰にビリッと電気が走ったような激痛」が走り、しばらくその場から動けなくなったとのこと。
その日は仕事を休み、奥様に付き添われて当院を受診されました。
■ギックリ腰になった原因は?
姿勢や生活習慣を問診・検査していく中で、いくつかの要因が重なっていたことが分かりました。
•長時間の座位による腰部・股関節周囲の筋緊張
•姿勢の崩れ(骨盤の後傾、胸椎の可動性低下)
•睡眠不足やストレスによる回復力の低下


つまり、日々の「小さな積み重ね」が限界を超えたタイミングで、
ちょっとした動作(前屈)をきっかけにギックリ腰として現れたのです。
■施術の経過
【1回目】
初日は痛みが強く、歩行も前傾姿勢でのすり足歩行。
炎症症状も見られたため、患部への直接刺激は避け、骨盤周囲・股関節の可動性を回復する軽めのアプローチを行いました。
•腰部への負担を減らすための骨盤調整
•腰背部の筋膜リリース(浅層)
•呼吸指導と足部〜ふくらはぎの筋緊張緩和
施術後、「立ち上がりが少しラクになった」との感想をいただきました。
【2回目】
痛みはまだ残るものの、歩行速度が少し改善。前屈は困難。
この日は、前回よりも少し深い層へのアプローチを行い、
特に大腰筋や腸骨筋のリリースを中心に行いました。
•腰部深層筋(腸腰筋・多裂筋)へのアプローチ
•骨盤の安定化を意識した矯正
•仙腸関節周囲の可動域の確認
セルフケアとして「膝を立てて行う腹式呼吸」や「骨盤の前後傾運動」を指導しました。
【3回目】
痛みの強さは初回の50%程度まで軽減し、歩行や着座動作もスムーズに。
この日は体幹の再教育と姿勢修正を目的に、運動療法も導入しました。
•背骨の可動性を高めるモビリゼーション
•腹横筋・多裂筋の促通トレーニング
•肋骨と骨盤の連動を高めるエクササイズ
ここでようやく、「腰の痛みが怖くなくなった」と患者様の表情にも安心感が見られました。
【4回目】
ほぼ日常生活に支障はなく、軽度の疲労感のみ。
この日は再発予防を意識した全身のバランス調整を行い、終了としました。
•脊柱全体の可動性チェックと調整
•重心軸の修正
•デスクワーク中の姿勢指導(座り方、休憩の入れ方)
「またなったら怖いから定期的にみてほしい」とのことで、今後は月1〜2回のメンテナンス通院を希望されました。
■まとめ
ギックリ腰は突然起こるように見えて、実は日々の習慣の積み重ねで起きるものです。
この患者様のように「原因に気づかないまま」限界を超えてしまうケースが非常に多くあります。
施術のポイントは「痛みを取る」ことだけではなく、「なぜ起きたか?」を明確にし、「再発しない体」に導くことです。
当院では、患部のみにとらわれず、姿勢や動きのクセ、内臓疲労やストレスなども含めて総合的にアプローチしています。
ギックリ腰は一度なるとクセになる…という方も多いですが、正しく対処し、体の使い方を見直すことで予防は可能です。
腰に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。



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